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髙瀬きぼりお絵画展
2019年2月19日〜24日
15時〜22時(最終日は20時まで)
ギャラリーカフェスリー
〒166-0003 東京都杉並区高円寺南3丁目45−9

Kiborio Takase paintings
2019 February 19 - 24
3pm - 10pm (finalday upto 8pm)
Gallery cafe 3
3-45-9 Kōenjiminami, Suginami-ku, Tōkyō-to 166-0003 JAPAN

『ラカンの哲学 哲学の実践としての精神分析』を出版したことが記憶に新しい哲学者の荒谷さんが、きぼりおを考えてくれました。
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 高瀬きぼりお考   荒谷大輔

僕は物事に真剣に向き合わない人間がきらいだ。だから、何となくおしゃれとか、おれ現代アートわかってる風なノリで作品が消費されることが耐えられない。社交上、そういう人とも仲良く話をしてるように装うが、その実、アート業界の救いようのない現状にウンザリしてたりする。  でも、きぼりおさんは違う。展覧会に来た人と誰彼なく実に楽しそうに話す。何か面白いことがそこから落ちないか、子供のような無邪気さで、小猿がそこら中でいたずらして回るかのように話している。ホッピーを片手に酔っ払いながら。  おそらくはそれは、きぼりおさんが作品を作り続ける姿勢と同じ根っこを持っているのだと思った。きぼりおさんの作品は毎回違ってどんな作風かよくわからないという人もいるが、そんなことはない。遊びを引き出す素材が違っているだけで、作品には一貫した「きぼりお性」なるものが満ちているように思う。作品に溢れる「きぼりお性」が、展覧会で話すきぼりおさんにも見出されるように思えるのだ。  では「きぼりお性」とは何か。それは、予測不可能なものへの信頼だといってみたい。ウェットさは微塵もなく、超越的なものへの信仰とも違う。ドライというのも、ウェットさの裏返しみたいで違うし、愛に満ちているかといえばもうちょっと覚めている。しかし、そこには新しく立ち現れる何かへの絶大なる信頼がある。「これメッチャ面白いと思うんだけど」という提案が、本当に楽しそうに作品として実を結んでいる。作品を観る側は(きぼりおさん本人はもはやそこにいなくてもいい)、「え、これおもろいんか」と多少困惑しつつも、作品に溢れる「きぼりお性」を前に「楽しそうだな」と思わざるを得ない。わけはわからなくてもとりあえずいい。「きぼりお性」に浴するだけで十分である。一緒に飛び跳ねるほど子どもになれなくても、何かの扉が開く音を聞くことはできるだろう。当のきぼりおさんはといえば、その音を目ざとく聞きつけて、扉から出てくるものを相手にまた勝手に遊びはじめるのであるが。


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以上が荒谷さんが書いてくれた文章です。

それと、Gallery Café 3 のオーナー東村さんが紹介文を書いてくれました。

今回の展示は、高瀬きぼりおさんの世界にご案内します。絵画とは何か?それについて高瀬さんは独特な表現で言葉にします。昨春開催された彼の個展では「矩形のキャンバスに筆で絵の具を塗ったものを垂直の壁に展示します」と言い、表現そのものを達観する姿勢で制作を続けるユニークな表現者です。ぜひご覧いただきたいと思います。
(東村記人)




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髙瀬きぼりおのステイトメント

絵を見る時、ぼくはまずストロークが目につくことが多い。いろんな種類のストロークがあって、ぼくの好きなのと嫌いなのがあり中間は、ほぼ無限にある。筆触、筆致とも言える。ちなみにベーコンとモネのストロークが似ている事にこないだ気がついた。それからキャンバスの側面。そこをどう処理するのか、あるいはしないのか。絵の窓問題に対する態度が表明されているように見えて楽しい。北アメリカのモダニズム絵画が窓性を批判的に明らかにしたとき、壁と絵に境界を付けなくなる。それから、マッタクラークが壁に矩形の穴をあける。しかし発表当時、それを絵の窓性と結びつけて何か言っただろうか。言ってしまうと、答えを知ってるパズルをみせられるような気分。それにもかかわらず、なぜ中村一美は言わなければならないのか。ぼくは彼の言ってしまう所に、宮嶋葉一と似たおもしろさを感じます。

ぼくがもっとも興味があるのは、作品を作ってるときに、これで完成、という瞬間がくるんだけど、自分でそれを決めているのになぜそう決めたのかわからない事と、それはうまく言えてないんだけど、このうまく言えなさそれ自体です。もうひとつ興味深いのは、うまく言えてないのにどうやら伝わっているように見える人がたまに現れることです。

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おまちしております。